N社の事務所2階には社員が休憩や集会、宴会に利用する厚生施設があった。2階部分は木造であり、S造1階スラブの上に建てられていて、長い年月を経て必然的に木造の部分は老朽化し、同時に内部の間取りも現況の使い勝手とは乖離した状況にあった。リノベーションすることで再び社員の厚生施設として再生すること、それがクライアントからの要求であった。
　まず、既存プランは廊下が異常に多かった為、エントランスやキッチンの位置を見直すことで解決し、また主となる和室は全く性格の異なる2部屋を用意した。1つは畳貼りの明るい大広間、もう1つは墨色に塗り込められた、囲炉裏のある暗めの古民家風小広間である。利用する人の気分や人数により部屋を選択し、寛ぐことのできる室内空間を目指した。